第19章 羽折れの天使
「千冬.....?何だこの映像。」
《お疲れ様です。》
《おう、暑ぃなぁ。まぁテメェも座れや。こんな事で呼び出したくなかったけどよ。上からの指示だ.....仕方ねぇだろ?》
「これが......俺?」
『全く別人.....』
画面に表示されているタケミチは12年前の彼の姿を無く、そこにはただの巨悪な人物が映っていた。
「松野千冬が隠し撮りした動画です。どう説明してたらいいのか.....とにかく.....君と義姉さんが現代に帰ってきた瞬間、僕の世界も一瞬にして変わった。君と義姉さんが過去を変えて大きな変革が起きたからです。」
『大きな変革??』
「まず、この世界の僕とタケミチ君、義姉さんは中学以来出会っていない。僕と義姉さんは前の世界と同じ警察。だがタケミチ君。君はレンタルショップの店員じゃなくて東卍の大幹部。そして前の世界とは少し違い姉さんと杏花は8月10日車に乗っている所を千堂アツシの乗った車にぶつけられ殺されました。」
『.....アッ君が杏花を殺したの.....?海寿じゃなくて?』
「はい。今回は花瀬海寿は杏花の死に関与していません。そして僕は松野千冬と組んで姉と杏花の仇の稀咲を捕まえようとしていた......すいません。タケミチ君、義姉さん。混乱してますよね?僕は立場上君を逮捕するしか無かった。」
ナオトはそう言うと続きを再生した。
《今日オマエを呼んだのは他でもねぇ。"ある奴ら"を消して欲しいからだ。》
《.....ある奴ら?》
《"ソイツら"が何者かなんて知らねぇしどうでもいい。重要なのは"ソイツら"が東卍に邪魔だって事だ。俺だってテメェにこんな事させたくねぇ。やらねぇと稀咲が黙ってねぇ。わかるな?"アツシ"》
『「"アツシ"......ってアッ君!?」』
ガタンッ!!2人は驚いたような表情を浮かべると、椅子を蹴り飛ばしながら立ち上がった。