第19章 羽折れの天使
「え!?千冬と.....その刑事は繋がってたんですか?」
「"橘 ヒナタ及び橘 杏花、旧姓蒼葉 杏花殺害事件"は稀咲の命令だ。あの事件、覚えているだろう?」
そう問われた瞬間
2人の思考の中にはあの日の殺人事件が消え失せることの無い炎が思い浮かぶ。
二度と忘れることの出来ないあの凄惨な事件を.....
『覚えてるよ東卍構成員が車ごとヒナと杏花の乗った車に突っ込んで大炎上.....3人とも死んだ事件』
「忘れるわけねぇだろ......」
『.......』
忘れたくとも忘れるわけない
私たちのこの目に火傷のように焼き付いているのだから
「稀咲にはアリバイがあった。あの日稀咲はオマエら幹部と集会をしていた。」
「(え?俺らと集会!?って事はこの世界で俺はヒナとアッ君が死んだ時、その場にいなかったのか!?)」
『(犯行時刻アリバイがあったのなら稀咲を捕まえるのは無理なんじゃ........)』
「だが千冬は証拠を掴んでいた。」
「......」
「稀咲が命令を下したという証拠をな!千冬たちは本当にあと一歩の所まで稀咲を追い詰めてた。」
「ならなんで捕まえれなかったんすか?」
「あと一歩の所で逃したのは千冬の所為だった。」
『え!?千冬の!?』
ありえない
場地の意思を継ぎあと一歩まで追い詰めていた千冬が稀咲を逃す?そんな失態するわけが無い。
なにか理由があったんだろうか?
稀咲を逃がさなければ行けなかった理由が......
思考が混乱するのがわかった。
なんで稀咲を逃したのが千冬のせいになるのかと....
「アイツが何故か最後の最後で証拠を隠したからだ。」
『なんで.....』
「降りろ。タケミっち、リッカ。その路地裏に会わせたい奴がいる。」
「俺たちに?」
静かに一虎は頷くと先に車を降りて裏路地に入っていく。
2人も後を追うように着いていくと暗闇の奥から1つの人影が現れた。