第19章 羽折れの天使
『お願い。一虎。私にも協力させて......』
「......」
『三ツ谷に託されたものを果たしたい。私は東卍をマイキーを救いたい!』
「......わかったよ。オマエは言い出したら聴かねぇからな。」
はぁーとどこか呆れたようにため息を着く一虎だがその顔はどこか安心したような表情で笑っていた。
「一虎君作戦はあるんですか?」
「まずはマイキーの"左腕"を切り落とす。」
「"左腕"?」
「"元黒龍組"アイツら俺とリッカとは深い因縁がある。」
「因縁?」
『"元黒龍組"の原型は十一代目黒龍組。東卍結成前に、一虎が揉め、私に大火傷を負わせた暴走族の2つ後の世代。黒龍は.....シン兄が立ち上げ、八代目の総長が腐らせたチームよ。』
「!」
「ああ。強請(ユス)り、脅し、殺人。金の為ならなんでもアリの連中だ。」
「エグいっすね」
『金か......ならまずココから叩かないと。でもココは用心深い決定的な証拠は基本残さない。』
「元黒龍組の九井一。こいつが生み出す莫大な金がマイキーを狂わしている1つだ。俺のツテで奴らの隠し口座を突き止めた。金の流れを断ち、決着をつけるつもりだ。」
ギュッ一虎は覚悟を決めたような表情を浮かべるとハンドルをキツく握る。
『一虎。東卍に黒龍が降ったのはいつ頃?』
「千冬の話では確か、12年前の12月頃だったはずだ。当時の十代目総長だった柴大寿.....実の兄貴を今の柴八戒が刺し殺したんだ。」
「え!?実の兄を!?」
『え.....何のために.....』
殺人なんて.....あまりにも受け入れ難い現実に一瞬めまいが起きる。
私の知ってる八戒は三ツ谷が大好きで、ちょっと強がりで.....でもどこか子供っぽくておバカで優しい子。 それが思い出の中の八戒だった。