第19章 羽折れの天使
「オマエを壊すためだ。」
『私を壊す?』
「今のマイキーはもうあの頃のマイキーじゃねぇ。とっくの昔に心が壊れてガラクタのようになっちまった。そしてアイツはオマエも同じようにガラクタにしようとしてるんだ。アイツはもう不良なんかじゃねぇ。」
────「マイキーは巨悪だ!!」
天性のカリスマを持つマイキー
そして天性の人を惹きつけ、救うリツカ
この二人が合わさってこそコインの表と裏のように近郊が保たれていた。
だが、近郊が壊された今マイキーは堕ちるところまで堕ちてしまった。
稀咲の手によって.......
いや、稀咲だけじゃない様々な要因が重なってこうなってしまったのかもしれない。
「俺もアイツを変えちまった1人......とにかく今のマイキーは本当にヤベェ奴だ。会って話がしたい。でもまずはアイツらと離れなきゃダメだって」
「アイツら?」
『稀咲の暴力と黒龍の金でしょ。』
「!知ってたのか!?」
『私はあの部屋に監禁される代わりに全ての情報を統制するように言われてたから......』
少しずつ流れ込んでくる記憶を必死に思い出して一虎の話に着いていく。
「この2つをなんとかしねぇとマイキーが正気に戻ることはねぇ。協力してくれタケミチ。今度は俺がマイキーを......」
─────「佐野万次郎を救いたい」
「リッカ。オマエはこのまま警察に────」
『一虎。マイキーを救いたいのは一虎だけじゃないよ。』
「え?」
『私もマイキーを救いたい。あの人ともう一度会いたい。』
今度は間違えない
あの人が迷わずに私の元に帰ってきてくれるように、
私が......導くの.....この力で.....
今度こそ二度と離れないように、あの人を優しく抱きしめてあげたい。
あの人の温もりを感じたい。
祈っていてもあの人は帰ってこない
なら私から迎えに行こうではないか
そばにいて欲しいと願った彼の願いを叶えに......!