第19章 羽折れの天使
「リッカ!」
「リッちゃん!よかった無事だったんだな!」
『一虎!タケミチ!(そうだ!三ツ谷は!?)』
三ツ谷がいたはずの所に視線を向ければもうそこには既に三ツ谷の姿はなくただ砂煙だけが舞っていた。
『2人ともなんで......』
「とにかくオマエも乗れ!逃げるぞ! 」
一虎に手を引かれリツカは車に乗るとすぐに車が走り出す。
「リッカ。オマエどうやってあそこまで逃げてきた?」
『三ツ谷が.......三ツ谷が私を助けてくれたの。』
「三ツ谷が!?アイツ生きてたのか......」
『一虎。どういう事?今の東卍に何が起こってるの?』
「同感っす。俺ら記憶が曖昧で変な事聞くかもしれませんけど、東卍はなんでこんな風になっちまったんですかね.....?」
「......マイキーだ。」
『「!?」』
予想だにしなかった答えにリツカもタケミチも目を見開き、固唾を飲む。
「マイキーは.....変わり果てた。東卍が変わったのはマイキーが変わっちまったからだ。」
「.....そんな.....」
『他に黒幕がいるんだよね!?稀咲が裏で手を引いてるだけじゃないの!?』
「.....オマエらが稀咲に捕まってる間にパーちんとペーやんが殺された。」
『それも稀咲の命令でしょ!?』
「違う......指示したのはマイキーだ。三ツ谷も数ヶ月前から行方不明って聞いていたが.....まさか生きてたとはな。」
「じゃあ三ツ谷君はこうなる事を予想してたってことですか?」
「多分な。だから予め行方を眩ませた。アイツは最初からわかってたんだマイキーが東卍の旧メンバーの粛清を始めるって。仲間なんてもう信じちゃいない。稀咲があくまでも暗殺命令を出したのは場地と千冬とタケミチだけだ。」
『なんでマイキーはパーちんたちを粛清し始めたの?』
「理由はおそらく......」
言葉を濁した一虎は少しだけ視線を落とすとバックミラー越しにリツカを見て重々しく語り始めた。