第19章 羽折れの天使
『三ツ谷?』
「あと少ししたら一虎がタケミっちを連れてここに来る。オマエは一虎とタケミっちと一緒に行け。今は逃げろ。」
『三ツ谷は?三ツ谷は一緒に行かないの? 』
「俺は行けない。」
『なんで!一緒に逃げようよ!』
「どうせ俺は......いや、"俺たち"はもうマイキーにとって邪魔者だ。」
『稀咲ならまだしもなんでマイキーが出てくるの?』
「......それは.....答えられない。でもまだ俺にはやることがある。俺はオマエの身代わりになる。できるだけオマエらから離れて時間を稼ぐ。だから一緒に行けない。」
『そんな危ないよ!そんな事しないで一緒に逃げよ!このままじゃ三ツ谷確実に殺されるよ!』
「覚悟の上だ。そんな顔すんな。ちゃんと秘策はあるから。な?大丈夫。すぐには見つかりはしねーよ。」
『でも......』
「リッカ!よく聞け!」
三ツ谷の大声で肩がビクッ!!と跳ねる。
恐る恐る三ツ谷を見ると真剣な顔をした三ツ谷がリツカを見つめていた。
「リッカ。オマエは俺たちの希望だ。だから頼む。このまま逃げて死なないでくれ。そして巨悪化した東卍を......マイキーを救ってやってくれ。オマエにしかできない事だ。」
『......』
「わかったのか!?リッカ!他の言葉は要らない。わかっただけ応えろ!」
『ッ!』
コクン!と勢いよく頷くと三ツ谷は安心したように笑うと立ち上がるとリツカに背を向ける。
『三ツ谷!』
「逃げろリッカ。そしてみんなを救ってくれ。頼んだそ。」
『待って─────』
──────ファンッ!!
クラクションの音が聞こえ咄嗟に視線を向ける。
するとそこには驚いた表情を浮かべていた一虎とタケミチが車の中からリツカを見つめていた。