第19章 羽折れの天使
「......リッカ。東卍はどこに向かってんだろうな。」
『!』
「マイキーさ、昔....."不良の時代を作る"って言ったよな?」
「【俺が不良の時代を作ってやる】」今でも耳の中で木霊するあの言葉にリツカは目に涙を浮かべながら、ゆっくり頷いた。
「アイツの言う通り東卍はドデカくなったよ。クスリ.....売春....闇カジノ、闇金。あらゆる犯罪に手を染めてドデカくなった。でも....でもよ....」
───「これがマイキーが作りたかった時代か!?」
『!』
その瞬間ふわりと風がなびいた。
恐る恐る三ツ谷の方を見ると瞳には涙が溜まっていた。
『三ツ谷......!』
「違ぇだろ!?これがオマエと場地が命をかけてまで守りたかった時代か!?」
『!』
「あの頃のオマエらはこんな東卍望んでなかった。そうだろ?リッカ!」
そうだ.....違う。
私たちが守りたかったのはこんな東卍じゃない
"俺が不良の時代を創ってやる"
"誰かが傷ついたらみんなで守る。一人一人がみんなの為に命を張れるチームにしたい!"
私が.....私たちが......守りたかったのはこんなに腐った醜い東卍じゃない。
私が守りたかったのは圭介が守りたかった、宝だって言ってくれたチームだ!
今だってどうすれば正しかったなんて分からない。
でもいつまでもクヨクヨなんてしてられない。
私にはまだやることがある。
守れなかった物を今度こそは守らなきゃ
『違う......違うよ......こんなの違う!私が大好きだった東卍は、守りたかった東卍はもっとキラキラしてた!私はこんな東卍望んでなんかいない!!』
「ああ。俺たちの東卍を取り戻すぞ。」
『うん!』
三ツ谷は泣き崩れるリツカの頭を優しく撫でると立ち上がった。