第19章 羽折れの天使
「女を寄って集ってタコ殴りにしている奴らがいた。止めに入ったら殴っていた奴等は......東卍のメンバーだった。」
『え.....』
三ツ谷から告げられた衝撃の事実にリツカは言葉を詰まらせると大きく目を見開いた。
「俺らはいつの間にか女を殴る組織になっちまったんだ。ひでぇ話だよな。あんだけ俺らは女、子供には手を出さねぇっ家族や他人を巻き込んじゃダメだ。俺らの中で起きたことは俺らん中で解決する。って言っておきながら今は当たり前のように殴る。」
『.....』
「オマエが居なくなって俺たちはもう引き返せないくらい堕ちちまった。でもオマエは違う。オマエの翼はまだ折れてねぇ。もげてもねぇ。」
ガシッと三ツ谷はリツカの肩を掴むと目線を合わせる。
「だからオマエに託す。堕ちちまった俺たちを救ってくれ。泣き虫の天使様。オマエは俺たちの希望なんだ。」
『やめて......!私はみんなが言う希望なんかじゃない!!違う私は─────』
「希望だよ。」
『───ッ!』
「オマエは俺たちのたった一つの希望だ。東卍はデカくなっておかしくなった。俺たちじゃもう無理なんだ。俺たちは腐っていく東卍をただ見てることしか出来ない。いやそれなのに率先して稀咲の小間使い。俺たちはもう腐っちまってる。」
『それなら私ももう腐ってるよ......』
「そんなことねぇ。オマエは腐ってねぇ。あの頃と同じ。綺麗なまんまだ。」
『なんでそんなことがわかるの!?』
「10年前オマエが突然姿を消してから東卍は修羅の道を歩み始めた。唯一の頼みだったドラケンは死刑、マイキーはどこにいるかわかんねぇ。10年前までは俺たちは光の道を歩いてたんだ。オマエがいなくなる前まではな。」
『......ッ!そんなの知らないよっ。』
リツカは三ツ谷を振り払うと目をキツく閉め、もう聞きたくないと耳を塞いだ。
それでも三ツ谷は諭すように話を続けた。