第19章 羽折れの天使
『っ!ハッ!』
「起きたか。見ない間に随分綺麗になったな。通りでマイキーが外に出したがらねぇワケだ。」
『誰?』
黒髪に見たことがある十字のイラストがあるピアス、そして黒い服を着た男性が立っていた。
見たことがない人。
でもその声はどこか懐かしくて聞き覚えのある声だった。
「オイオイ。誰なんて酷いな。しばらく会ってないだけで俺の顔忘れたか?」
『!そのピアス。もしかして三ツ谷!?』
「久しぶりだな。リッカ。悪かったな。すぐに助けてやれなくて。」
三ツ谷はそう言うとリツカと視線を合わせれるように跪いた。
『助けるって何言って......』
「オマエをマイキーや半間、稀咲たちから助けるためにずっと機会を伺ってたんだ。」
『そうだったんだ.....』
「リツカ.....何があった。」
『.....〜〜〜っ。な、何言ってるの?三ツ谷.....なんでもないよ.....』
真剣な顔をして三ツ谷は問いかける。
しかし、リツカは声を震わせながらも三ツ谷の問いかけに首を振った。
巻き込みたくない。そう思ったからだ。
巻き込んでしまえばまた大切な人が死んでしまう。
そう考えただけで何も言えなくなってしまったのだ。
「っ!」
バッ!!唇を噛み締めた三ツ谷はリツカを優しく抱きしめた。
「無理すんな。我慢しなくていい。何があったんだ。」
『三ツ谷ぁ.....私どうしよう。私......私がみんなを狂わせたかもしれない。私のせいで.....みんなっ。』
「狂わせた?オマエ何言ってるんだ?」
『私のせいでみんな死んじゃった!みんな人を殺しちゃうようになっちゃった!みんなみんなっ!圭介も千冬もドラケンも海國も海寿もみんな私のせいで死んじゃった!!!』
うわあああぁぁぁっ!と泣き出したリツカを三ツ谷は呆然と見つめる。