第19章 羽折れの天使
『やめてッ!やめてッ!!圭介達は何も悪くない!!何もしてない!なんで、なんでこんな事するの!やめてよ!やめてぇぇぇぇっ!!』
「そうだな。確かにコイツらは何もしてない。でもオマエはどうだ?」
『.....え?』
「オマエの言う何もしていないコイツらはオマエのせいで死んだんだ。オマエが何度も何度も俺を裏切るから。 俺らを守るためとか東卍のためとか言って非合法なこともした。俺はそれを再現してるだけ。 こうやって何人も何人も何人も!!」
「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ッ─────!!!」
「傷つけて、その現実から逃げてきたのオマエだろ? そんなオマエが俺らを救う? 笑わせるな。オマエは絶対に俺らを救うことは出来ない。 オマエは大切に思う人ほど.....その手で壊してしまうんだから.... 何も得ることは無い、何も与えることも出来ない。 生きている意味も分からず、裏切った数だけ友を失って1人っきりで生きていくだけ。」
そう言って指を指した少年はケラケラと笑い、ナイフを手放すと、私の目の前に迫ってきた。
「俺さ決めてたんだ。オマエを殺して俺も死ぬって.....じゃあな。」
─────バンッ!!!
彼はそう言うと引き金にかけた指に力を入れる。
パンッ!!まるで打ち上げ花火のような音が鼓膜を刺す。
脳に衝撃が走り、キーンという耳鳴りの音と共に意識が遠のいていく。
「リア。オマエだけは俺の隣にいてくれるよな?今度は俺を裏切らないよな?」
悲しそうな声が聞こえリツカは眉を顰めると少年を優しく抱きしめた。
『裏切らないよ。ずっとそばに居るよ』
アイツによって変えられてしまった彼...いや彼らはもう堕ちるところまで堕ちてしまっている。
それを救えるのは私しかいないのかもしれない。
それをもう何日も何ヶ月も嫌という程見てきた。
大好きだった東卍はいつの間にか殺すような組織へと変わり果てていた。
こんなの少年が望んでいることじゃない。
「俺を....助けてくれ。リツカ....」
小さく悲しそうな声が聞こえた気がした。
はっきりと少年の姿を見ると私は息をすることを忘れた。
そこに立っていたのは悲しそうに涙を流すマイキーの姿だった。