第18章 総決算と決意*
「.....すまなかった。ずっとこうしてオマエ達に謝りたかった。もちろん場地にも.....アイツが目覚めたらまたこうして謝るつもりだ。いつになるか分からないが俺はこの業を背負って生きるつもりだ。」
『.....』
「12年経ってやっとわかったんだ。大切なのは仲間だ。」
あの極悪非道の稀咲らしからぬ言葉にリツカもタケミチも千冬も何を言ったら分からず口を閉ざしてしまった。
大切なことに気づけた稀咲は悪人じゃないのかもしれない?
もしかしたら稀咲は本当に自分の行いに後悔し懺悔し、自分たちに贖罪をしているのではないかと。
思ってしまう自分たちがいた。
「あの時のこと後悔しているんですか?」
「.....」
思わずタケミチが問いかけ千冬が稀咲を睨みつける。
稀咲は顔を上げると少し乾いた笑顔で
「忘れる日はなかったよ。」
と悲しそうにタケミチに告げた。
「.....この先も俺を好きなだけ恨めばいい。俺はそうされて当然のことをしてしまった。でも今日だけは1杯付き合えよ。」
そういうとグラスに注がれたウイスキーを3人に差し出した。
そしてテーブルを囲むようにして立つとみんなでグラスを掲げた。
「この乾杯をあの日犠牲になった者達に」
─────ゴクン。
その時悪魔がにやりと笑っていることなんて気づかず私たちはそれを飲んでしまった。
「あのビールないっすかね。高い酒飲みなれなくて」
「オイオイ東卍の幹部がそれじゃ困るぜ。」
「そっか。」グイッ
『あ!ウイスキー煽っちゃダメっ!』
「っ!ゴホゴホ!!」
グイッとウイスキーを煽り噎せるタケミチにリツカは困ったように笑いながら背中をさすってあげる。