第18章 総決算と決意*
「(......あれが稀咲?まるで別人みたいなんですけど。)」
「幹部会に顔出すなんて珍しいですね。稀咲さん。」
「ちょっと野暮用でな。」
『(あの半間が稀咲に敬語使ってる!?っと言うことは総長代理ってのはコイツか。)』
半間と仲良さげに話している稀咲に視線を向ける。
「ん?どうした?」
『別に......なんでもない、デス』
ふいっと視線を逸らすリツカに稀咲は不思議そうにしながらも、タケミチ達に近づいていく。
「え?」
「タケミチ、千冬、そしてリツカ。ちょっと時間をくれないか?」
「あ....はい......」
『えっとはい。わかりました。』
4人は幹部会の会場を出てとあるホテルに入る。
どうやらそこは稀咲の庇護下にあるホテルらしく直ぐに4人はスイートルームに通された。
「夜景が綺麗だろ?オマエ昔から夜景とか見るの好きだったろ。よく俺と見に行ったよな。」
『(よく稀咲と見に行った?私1度も稀咲と夜景を見に行ったことなんてないんだけど。)』
「ここは特に夜景が綺麗なところなんだ。」
『.....一虎が......』
「?」
『夜景が好きなのは昔一虎が連れていってくれた屋上の夜景が綺麗だったからよ。』
「.....へぇ。一虎か。意外だな。」
『......』
窓際で夜景を見ていたリツカに稀咲が話し掛ける。
「リッカ。そんな所に居たら寒いだろう。こっちに来て話をしよう。」
『......』
無言で頷くとリツカはタケミチの隣にの席を選ぶと、稀咲と対面するように座る。
「オマエも座れよ千冬」
「自分はそういう身分じゃないんで。」
「ハハ!相変わらず固ぇな。」
稀咲鉄太
現・東京卍會の最重要人物の1人にして総長代理
警察が総力を上げて捜索しても尻尾さえ掴めない男
コイツが本当にあの稀咲なのか?
ナオトが言っていた情報とは何ひとつとして噛み合わない。
2人の目の前で笑う男に疑問と疑惑の目を向けているとさっきまで笑っていた稀咲が懐かしそうな目を向けながらゆっくりと語り出した。