第17章 ハロウィンと隠し事
「昔のオマエ、いつも何考えてるかわかんねぇ顔してて、俺たちに隠し事ばっかして、なんでも1人で解決しようとしてただろ?」
『してたっけ?』
「してた。しかも毎回な。今回なんてそれで死にかけた。オマエいつも無茶ばっかりしてんだよ。」
『.....してるつもりは無いんだけどな。でもそれがどうしたの?』
「少しは俺たちを頼って信用しろって事だよ。」
『信用.....』
別にマイキーたちを信用してない訳では無い。
しかし、今回ばかりは不安が募っていた。
稀咲は恐らくこの幹部会を使って2日後の総決算でこの東卍を飲み込む準備をするつもりだ。
そんな瞬間を前にして不安がぬぐえるはずがない。
だって圭介と守ろうとした東卍が稀咲に飲み込まれてしまえばまたあの惨劇が、また杏花が、マイキーが東卍がコイツの手によって壊されてしまうのだから。
『信用はしてるよ.....でも不安で怖いの。』
「怖い?」
『この話し合いで私たちの中にある何かが変わっちゃうんじゃないかって。』
「変わるって何が?」
『それは......』
今はまだ言えない。
言ってもきっと信じて貰えないだろう。
今ここに居る私が14歳の私でははなく12年後の26歳の私だとは誰も。
未来の話をしてもそれはきっと空想の中の話だと言われるだけだ。
私一人が足掻いたところで時の流れ.....いや、稀咲の力には逆らえない。
今回のようにまた殺されかけるか、圭介のようになってしまう。
そしたら1人残されたタケミチはどうする。
彼一人にこの荷を背負わせる訳には行かない。
だから今は言えない。
『分からない......でも怖いの。』
「大丈夫だ。変わんねぇよ。俺たちはなんもな。あの頃のまんまだ。オマエらが取り戻してくれた。だから安心しろ。」
『うん......』
不安な顔をしながらリツカは目の前で巨悪の種へと変わってしまった東卍を眺め続けた。