第17章 ハロウィンと隠し事
『おおー!すごい!』
「特服なんて初期メンバー以来だからちょっと手間取ったけどやっと出来上がったぜ。後はオマエに任せる。」
『うん。後は刺繍だけだね!』
「ルナ、マナちょっとリッカ借りるな。」
「えーせっかく着せ替えお人形さんごっこの途中なのに!後このピン付けるだけなの!」
「もっと遊びたい!」
『ごめんね。また今度遊ぼうね。』
「本当にまた今度遊んでくれる?」
『うん。だからね?今日はもうおしまい。』
「「わかった。」」
少しむくれながらも了承してくれた2人の頭を優しく撫で、立ち上がると三ツ谷の部屋へと入っていく。
「刺繍糸はそこで、針はそこにあるから。」
『わかった。』
「俺は飲み物持ってくる。」
『ありがとう。さぁてやりますか。』
刺繍針を手に取り金色の刺繍糸を通すと真っ黒な特服に向かって糸を通す。
『(刺繍なんて久しぶりだなぁ......いつぶりだっけ。そうか.....東卍結成時以来......あの頃は何もかもが初めてでおばあちゃんに教えて貰いながら徹夜でしたんだっけ.....)』
「リッカ。ココア持ってきて来たぞ。」
『......』
「ここに置いとくな。」
『......』
「リッカ?おーい?聞いてるのか?」
『......』
「おーい?」
『......』
「(全く相変わらずすっげぇ集中力だな。)」
三ツ谷の目の前にはさっきの声がまるで聞こえていなかったのであろうリツカがすごい速さで刺繍をしている姿だった。