第17章 ハロウィンと隠し事
『みんなには知られたくなかった。ずっと隠し通すつもりだった。』
「っ!そんなことすればリッちゃんの肺は!!」
『わかってる!わかってるから.....騒がないで看護師さんたちが来ちゃう。』
「わかってねぇよ!!自分がどれだけ危ない状況かってんのか!」
『わかってるよ。だから.....』
「わかってねぇよ!」
『わかってるって。』
「わかってねぇ!わかってるなら─────」
『ッ!うるさい!黙れよ!!言われなくたって自分が1番わかってんだよ!!でもそれでも言いたくなかったんだ!!!』
ガシャン!!リツカは勢いよく起き上がるとタケミチの胸ぐらを掴みあげた。
その反動で点滴が揺れ大きな音が部屋に反響する。
「ッ!ケホッ.....」
『ゲボっ!!ゴボ...ゲホッゴホッゴホッ...ッ!!』
ポタ.....ポタ.....ポタ......
少量がリツカの口から伝い白いベッドを真っ赤に染め上げた。
『ハァハァ.....チッ!クソッ(ここまでとはっ!)』
「リッちゃん!!」
『わかってる。わかってるよ......こんなこと正しくないなんて。でも、でももうこれ以上私のことでみんなに背負わせたくないの.....』
「え、」
『歌だってそう本当はギリギリだった。腕だって背中だって今回の事だってみんな勝手に背負おうとする。』
「それは.......」
仲間だから。タケミチはその言葉がいえなかった。
それはリツカだって理由が同じだったからだ。
仲間だから頼って欲しい。でも仲間だからこれ以上背負わせたくない。
同じ仲間だからこその理由だ。
『もう今までみたいにみんなに守られるだけの私じゃダメなの。これからは私が何があってもみんなを守らなきゃ。これ以上私のことでみんなに苦しんで欲しくない。だから後遺症のことずっと黙ってたの。』
「......」
『本当笑えちゃうよね......強がってさ.....本当バカみたい。』
リツカは辛そうにそう呟くと無理やり笑みを浮かべタケミチに向けた。
そんな彼女を前に勢いよく立ち上がった。