第17章 ハロウィンと隠し事
ガラッと扉が開き廊下から三ツ谷が現れる。
「その為にこれも作ったんだからな。ほら、手渡してくれるか?」
「う、うん!」
何故かヒカリを連れた三ツ谷はそういうとヒカリに紙袋を持たせ、ヒカリがそれをリツカに手渡す。
それを受け取ったリツカは恐る恐る中身を確認すると目を見開いた。
─────特服だ。
しかも胸元が緩く作られており、ズボンの部分を短パンに作り替えられた特服とスカートの特服、同じく中にはニーハイが入っていた。
『これっ!』
「オマエの特服だ。みんなで考えて作ったんだ。スカートか短パンでモメてな。それならってふたつ作ったんだ。着ないなんて言わないよな。」
『言わないよ!すっごく嬉しい!』
リツカは紙袋を強く握りしめると飛びっきりの笑顔をこぼす。
「お姉ちゃん!あのね!お姉ちゃんはお姉ちゃんのままでいいと思うの!そっちの方がとっても素敵!」
「チビよくわかってんじゃん。」
「チビじゃない!!お兄ちゃんたち!お姉ちゃん泣かせたら私が許さないんだからね!」
「泣かせるわけねぇだろ!」
そんなやり取りをしてるみんなを見てリツカは小さく笑みを零すと目を瞑り集中する。
少しだけ歌ってもいいよね
この気持ちをみんなに、歌に全て乗せて伝えたいんだ。
かの人が言っていた種が風に乗って運ばれて色とりどりの花が芽吹くように。
みんなにこの声が、この思いが届いて欲しい。
悲しみも嬉しさも全部全部この歌に乗せて!
そしてすぅと息を吸うと歌い出した。
『♪.•*¨*•.¸¸♬︎♪。.:*・♪。.:*・゜♪。.:*・゜』
リツカが歌い出した瞬間
その場の空気が一瞬にして変わった。
騒いでいたマイキーたちも、廊下を通っていた患者や看護師までもがその歌声に感化され惹き付けられてしまう。
『•*¨*•.¸¸♬︎......』
【わあぁー!!!!】
歌い終わった瞬間
その場から歓声が上がる。