第17章 ハロウィンと隠し事
卍 卍 卍
「うーん。まだ心配はあるけどこの調子なら今週中には退院できるね。」
『そうですか。良かったぁ、なら明日で。』
「はぇーなオイ。まぁできないこともないけど.....せめてあの二、三日は。」
『明日がいいです!』
「......わかったよ。準備しとく」
『やった!』
リツカは嬉しそうにガッツポーズすると同時にどこかホッとしたように胸を撫で下ろす。
「やったじゃないよ。また完全に治ったわけじゃない。しっかり薬を飲んで、退院しても何かあったら直ぐにおいでね。」
『はいはい』
「ハイは1回!くれぐれもヤンチャなんてするなよ。」
『気が向いたらですね』
「気が向いたらですね〜じゃない!このバカタレ」
ポンッと頭の上に軽くカルテを当てられる。
「とにかくヤンチャしないこと!したとしても口喧嘩程度!良いね?じゃないと本気で君一生喧嘩できない体になるよ。」
『それは分かってますよ。自分が1番.....なーんてね。』
不満そうにでもどこか冗談交じりに頷いたリツカに医師は少しだけ暗転したようなような顔を浮べる。
それはおそらく彼女を蝕む何かに不安を抱いているような顔だった。