第16章 小さき眠り姫
『いやでも.....』
「でもじゃねぇ。リア無理しすぎ。」
「確かになー。オマエ俺らに隠れて、色んなことしてんだろ。」
『ナンノコトカナ?』
「誤魔化すな!海國たちから聞いてんだからな!下のやつらの特服の修理、全部オマエがやってるらしいじゃねぇか!」
『ギクッ.....』
「オマッ、150近くあんのにか!?」
思わず千冬が声を荒らげ、積み上がっている特服に視線を向ける。
『いやいや、さすがに全部はしてないよ。特攻隊のだけだし。』
「それでも10着以上あんだろうが!!」
『だって、今度の集会までには特服直してあげたいし。』
「つっても自分でやらせるか、買い替えさせればいいじゃねーか。」
『それじゃダメなの!!』
「なんでだよ。」
『特服って総長や隊長から送られる仲間の証でしょ。だからせめて罪滅ぼしとまでは行かないけど特服だけでも直してあげたくて.....』
【!】
「ったく。本当オマエには敵わないな。」
三ツ谷はどこか嬉しそうに笑うとリツカの頭をぽんと撫でる。
「確かに。特服はオマエが言うように仲間の証だわな。」
「でも、目ェ覚めたばっかで無理しすぎ!少しは休め!総長命令!」
『......、わかった。』
こうなってしまえば意地でもマイキーは頑として譲らない。
ならこっちが折れた方が先決だなと諦めたリツカは大人しく特服を手放す。
しかし、これだけ言っておかないと。これだけは話しておかないと。と思い口を開いた。
この話は私一人の問題じゃないから。