第16章 小さき眠り姫
『圭介.....』
「しばらく2人にさせてやろうぜ。」
「そうだな。」
ドラケンと三ツ谷がそう言うと他のメンバーも頷きリツカの帰りを部屋で待つ。
『圭介.....まだ眠ってるんだね。私ね。眠ってる時に真兄に会えたの。色々話した。真兄ね私たちのこと恨んでなかった。ただ優しく見守ってくれてた。私、約束したの真兄の分まで生きるって。』
未だ眠る場地の手を優しく包むとまるで生きているのを確認するかのように脈に手を当てる。
『だから、圭介も死んじゃダメ。まだそっちに行っちゃダメ。』
皮膚越しに伝わる脈にリツカはホッと息を吐くと酸素マクスに様々な管が繋がれた場地の顔を見つめた。
顔色は抗争の時よりは良くなったように思える。
昏睡状態じゃなくて本当にただ寝ているみたいだなとリツカは思うと、目にかかった場地の髪を払い除け、彼の頬に手を当てた。
『早く目覚めてね。ずっと待ってるから.....』
守りきれなくてごめんね。
その言葉はあえて言わなかった。
圭介の事だ。目が覚めていたら絶対気にするなって言うことは分かっていたから。
だから、待ってる。それだけを言い残しリツカは後ろ髪を引かれながら病室へと帰って行った。
早く彼が目覚めることを信じて。