第4章 喧嘩賭博!?
─────「ちょっと待った!!!」
盛り上がっていた歓声が止み、大勢の目前に立たされた2人だけでなくギャラリーまでもが声の聞こえた方向へと視線を向ける。
するとそこには金髪の髪をなびかせたヒーローが立っていた。
『タケミチ....』
「いや〜毎回毎回似たような試合じゃつまんなくないッスか?もっとおもしれーモン見たいっしょ。」
「あ?誰だ?」
「2年坊がでしゃばんじゃねーぞ!!」
「昨日のワンパン野郎じゃねーか。」
野次と罵倒が飛び交う中タケミチはにっこりと笑いながら、ある人物に歩み寄っていく。
「....もっとおもしれーモン?」
「例えばさ」
立ち向かわないと。逃げちゃダメだ。タケミチの笑顔からそういった念が伝わってくる。
中身は26歳でも見た目は14歳。
小さな身体は心無しか震えている。
それでも引く訳には行かないと、笑みを浮かべ、ゆったりとした動きでキヨマサに近づいていくタケミチを見て最初は止めさせようと思っていたリツカはただそっと目を閉じると小さな声で
『頑張れ....タケミチ。』と呟く。
「!(リッちゃん...)」
微かに聞こえたその声にタケミチが反応しチラリと視線を向けるとリツカはただ優しい笑みを浮かべていた。
その笑顔を見た瞬間
まるで最強の加護を持った天使が味方に着いているような感覚に襲われ、不思議と怖いという感覚が和らいでいく。
「王VS奴隷」
「あ?」
「どーゆーイミだ?」
「タケミチ....まさか....」
「オイオイオイオイ」
「ヤベーやつキター!」
周りは騒然とし、嫌な予感がしたタクヤは唖然とする。
タケミチはそんな彼らを他所にキヨマサこと清水将貴の背後に立つとニィ!と笑って拳を突き出した。
「キヨマサ先輩。タイマン買ってくれよ!」
「あ?」
立ち上がったキヨマサはまるでゴミでも見るような目でタケミチを見下ろす。
そして一言「後悔するなんよ」そう言ってタケミチと共に前へと出ると、タケミチの鳩尾に向かって1発重い拳を振る。
ドグンッ!音が鳴る程の重い拳は見事タケミチの腹部に命中すると、男の割には小さな身体が宙を舞う。