第4章 喧嘩賭博!?
卍 卍 卍
「おせーぞ!クソども!約束通り連れてきたんだろうなァ!」
「あ、ああ。連れてきたよ....レッド君。ほら、アオバ....」
レッド君と呼ばれたリーゼントに金髪のメッシュを入れた男の前に突き出されるリツカ。
レッド君はリツカの顔をマジマジと見ると下卑た笑い声を漏らした。
「あははっ!傑作だなァ!めっちゃ陰キャ連れてくるとかマジウケんだけど!お前タクヤが負けたら奴隷決定なー!」
『....(あ、コイツ気づいてない系か。)』
「なんだぁ?怖くて声も出ねぇのかあぁ!?」
『....うるさ.....((ボソッ…』
「あ"!?声小さくて聞こえねぇーよ!陰キャ!」
「おい!そろそろ始めろ。」
タバコを吸っていた男がレッドに声をかける。
レッドはハイ!と返事をすると大量に集められたギャラリーの前へと向かった。
「ハーイ!お集まりのみなさーん!本日の対戦カードはメールで送ったとーり!!」
【桜中の小島!!】
「うぇーい」
「うぇーいじゃねーよ!ボケ!」
「チョーシこいてんじゃねーぞハゲ!!」
『(いや....どー見ても禿げてないでしょ....坊主だよあれは。)』
【そして溝中の山本だぁ!!】
「死んでこい!ロン毛ぇ!!」
「ビビってんじゃねーぞ!コラ!」
こんなクズな試合に盛り上がるギャラリーにリツカはチッ。と小さく舌打ちをし、ギロリとギャラリーたちを睨む。
『(タクヤ....何で、こんなゲス達を楽しませる為だけにタクヤが傷つかなきゃならないのっ!)』
「オッズは6対4で小島やや有利!」
盛り上がりに気を良くしたのかレッドは声を張り上げる。
するとギャラリーの声がさらに大きくなり、空気が震えた。
「おーし来い!!3枚おろしにしてやんよ!」
『(いや、素手では無理だって....)』
調子に乗り始めた小島に対しタクヤの呼吸が荒くなる。
顔色も心無しか悪く見え、リツカに嫌な予感が過ぎった。
止めなければそう思った瞬間
「始めろ」
あれほどうるさかったギャラリーの声がシーン....と静まり返り、キヨマサの声だけが木霊した。
【ワアアアァァッ!!!】
耳がつんざくほどの歓声が湧く。
すると、その盛り上がりを割るように凛とした声が響き渡った。