第16章 小さき眠り姫
卍 卍 卍
『そういえば一虎は?』
2人もすっかり落ち着き、ずっと気にかかっていたことを尋ねる。
【.....】
問いかけられた6人はリツカからフイッと視線を逸らすとドラケンだけが唇を切った。
「年少出てからすぐの犯行で再犯だから懲役10年は免れねーってよ。結果はどうあれ殺人未遂だしな。」
『嘘!懲役10年なんてさすがに重すぎるよ!良くても5年に執行猶予くらいでしょ!?っ、イタタタ....』
「落ち着け。それでもアイツは短いくらいだって言ってた。」
『......ッ』
「アイツはやっと自分の罪に向き合う覚悟ができたみたいだぜ。オマエたちがそう教えてくれたって言ってた。」
『.....でも.....』
「オマエの気持ちも分かる。一虎を心配する気持ちは俺らも一緒だ。でもマイキーは罪を償うと言った一虎を許した。だからこそアイツの覚悟を汲んでやれ。」
『え......マイキーが一虎をゆる、した?』
「ああ。」
『......ウソ』
「オマエらが命を張ってまでアイツらを止めてくれたおかげだ。」
『そっか.....マイキーが。』
「ああ。」
『.....わかった。でもドラケン。1つお願いがある。一虎に死んだら許さないって伝えといて。死んでなんかの詫びなんて要らない。誰がなんと言おうと一虎は東卍の.....特攻隊の一員だって!だから必ず帰ってこいってさ。』
「ああ。伝えとくよ。でも退院したら逢いに行ってやってくれ。」
『もちろん!友達なんだもん。逢いに行くに決まってるでしょ』
「それと一虎君から伝言です。」
『伝言?』
「"もう、俺に縛られず自由になってくれ。恋人ごっこに付き合わせてゴメン。こんな俺を救ってくれて、そばにいてくれてありがとう。......そして幸せになれよ"って。」
『あのバカ自分も幸せにならなきゃダメでしょ。何言ってんのよ。全く!』
「!はは.....本当にすげぇよ。オマエは。」
真っ直ぐで意志が強い瞳を見たみんなはポカンとしたあとふっと笑うと三ツ谷が「そうだな。」と言ってリツカの頭を撫でる。