第16章 小さき眠り姫
「リッちゃん。傷の方は大丈夫?」
『うん。大丈夫!最低でもあと1週間程度の入院が必要だけど、傷の方も塞がり始めてるって。』
「そっか。良かった。」
『圭介はまだ目覚めるか分からないらしい.....ごめん。タケミチ守りきれなくて.....』
「リッちゃんのせいじゃねぇよ!俺こそせっかくリッちゃんが身を呈して場地君を守ってくれたのに、守りきれなくてごめん。」
『じゃあお互い様だね。』
「うん。」
また泣き出したタケミチにありがとうの意味を込めて頭を撫でる。
するとタッタッタッという少し小走りのような足音と共に賑やかな声が聞こえてきた。
「千冬!本当に隊長目覚めたのか!?嘘だったらテメー東京湾に沈めっからな!!」
「おう!そんな嘘つくわけないだろ!」
「ちょっ、千冬君、海寿!廊下は走るな!危ないだろ!」
「そんな事言って兄貴も走ってんじゃん!」
「リツさんが目覚めたんだ!悠長に歩いてられるか!」
「病院内は静かにしてください!それと走らないでください!」
「「「すみません!!!」」」
『ッ.....』
「オイ!?リッカ大丈夫か!?ナースコール!!」
『だいじょ.....ッ!ふぅっ.....』
そんなみんなの声が聞こえてきてリツカはうずくまると、焦った様子でドラケンが心配そうに声をかける。
リツカはそれを手で静止するとプルプルと肩を震わせた。
「リツさん!!」
「隊長!!」
「「大丈夫ですか!?」」
その声を聞き付けてか海國と海寿は焦ったように部屋に飛び込んできた。