第16章 小さき眠り姫
「グズッ......ハッ....ズズッ.....親友。」
『ん?どうした?千冬』
「場地さんを守ってくれてありがとうな。」
『え.....』
「オマエのおかげで場地さんは死なずに済んだ。俺だけじゃ守れなかった。救えなかった。でもオマエが場地さんを助けてくれたから今あの人は生きてる。俺はオマエに感謝してもしきれねぇ。」
『いや.....私は圭介を.....守りきれなかった.....お礼なんて言われる筋合いないよ......』
「そんなことねぇ!オマエがあの人を庇わなかったら場地さんは確実に死んでた。あの人はそういう人だから。親友!場地さんを救ってくれて.....本当にありがとう。」
『......それを言うなら私もだよ。千冬。私に輸血してくれたって聞いた。私の命を紡いでくれて本当にありがとう。こうして生きていられるのは千冬たちのおかげだね。』
「っ!本当に生きてて良かったっ.....もうこんな無茶すんなよ!俺の心臓が持たねぇっ.....」
『あーもう、ほら、千冬。泣かないで。水無くなっちゃうよ〜その涙は圭介が起きた時に取っとこ。もうこんな無茶しないから。ね?こうして生きてるんだから。泣かないで。』
また涙を浮かばせる千冬にリツカは困ったように笑うとヨシヨシと頭を撫でる。
「俺、海國と海寿に呼んでくる。」
「わかった。」
ようやく泣き止んだ。千冬はスンスンと鼻を鳴らしながらすぐさま受付をしているという海國達に報告するために病室を出ていく。