第16章 小さき眠り姫
「じゃあ説明始めるから君たちは少し席を外してくれるかい?」
「「ウッス」」
2人が出て行ったのを確認すると医師はリツカの前に座る。
「肺損傷及び血胸と気胸......ここに着いた時には心肺停止。助かったことが奇跡とも言えるよ。」
『うわぁ......血胸ってことは肺に血が溜まってたってことですよね......刺されどこが悪かったなぁ。』
「そうだね。出血性ショックとかも起こしてたよ。見た限り輸血での拒否反応はなかったみたいだね。損傷したところはもう手の施しようがなかったから切除して止血剤と痛み止めを投与してる。吐き気や酷い痛みはない?」
医師は数枚のカルテを片手に呆れた様子で質問をする。
ちなみにこの医師は2年前のリツカが大怪我した時も対応してくれた医師で、カルテにはリツカの今の症状と搬送時の事が記させていた。
『今のところ特にはないですね!』
「"ないですね!"じゃない!君は一体これで何度目だい!?」
『す、すみません。』
「2年前は大火傷と背中に大きな裂傷で生死を彷徨い、3ヶ月前には腕に合計15針の縫合、今回は肺損傷と血胸と気胸!ちょっと君大怪我しすぎだよ!」
『か、返す言葉もありません。あの、後遺症とかは.......』
「......その事なんだけど。実は────」
ガミガミと説教をしていた医師は口ごもると外で待つドラケンたちを一瞬チラリと見ると、2人に聞こえない声で説明を始めた。