第16章 小さき眠り姫
ドラケンの言葉に一虎は目をそらすと「わりぃ。俺、アイツらの気持ち全然考えてなかったわ。」とバツが悪そうに呟いた。
「タケミチ。悪かった。リッカと場地の事を悪く言って.....」
「いえ。俺こそ胸ぐらを掴んですみませんでした。」
「顔を殴ったことは謝んねーのかよ。」
「あ、その!」
「なんてな。冗談だよ。悪かった。コイツらの覚悟をねじ曲げるようなこと言って。」
「いえ。」
一虎は気まずそうにしているタケミチを見てふはっ。と吹き出す。
「これなら任せられそうだな。」
「え?」
「あのそろそろ.....」
そう言って警察の人達が入ってくる。
一虎は小さく頷くと、警察の人に手を差し出し手錠が嵌る。
「マイキー.....リッカと場地を頼む。これは俺が起こした事だ。ケジメは自分でつける。」
「.....ああ。」
「タケミチ。1つリッカに伝言を頼んでいいか?」
「ハイ」
「"もう、俺に縛られず自由になってくれ。恋人ごっこに付き合わせてゴメン。こんな俺を救ってくれて、そばにいてくれてありがとう。......そして幸せになれよ"ってな。」
「分かりました。必ず伝えます。」
「ああ。頼んだ。」
一虎はそう言い残し、少しだけ笑うと警察の人に連れていかれてしまった。
「あの.....もうそろそろ面会時間が終わるので.....その.....ご心配だと思いますがあとは医師や看護師に任せて今日のところはお引き取りください。」
次に入ってきた看護師は少しオドオドした様子で面会時間の終了を告げる。
それはそうだ。喧嘩の後でみんなボロボロで、金髪の不良。誰だって怖がるに決まっていた。
「わかりました。コイツらの事よろしくお願いします。東卍はここで解散だ。帰んぞ。オマエら」
ドラケンの声でみんなが病室を去っていく。
その日はそのまま解散となった。
しかし、マイキーだけは縫い付けられた人形のようにその場から動けずにいた。