第16章 小さき眠り姫
「バカだろ.....こんな俺に!!なのになんでオマエらは......」
「は?」
─────ガタンッ!!
「グアッ....!!タケミチ何す────」
─────ゴッ!!
「ツッ!!」
【タケミっち!!!??】
地を這うような声が聞こえた後、声を荒らげた一虎の胸ぐらをタケミチが掴みあげ、一虎の背中を壁に思いっきり叩きつけると、勢いよく頬を殴り付ける。
あまりにも異様な光景に誰もが唖然とするがタケミチにとってそんなのはお構いなしだった。
ただ、たった今吐かれた言葉に強い苛立ちだけが募っていたからだ。
「"俺なんて"?さっきから聞いてれば一虎君いくらなんでもそれは許せないっす。リッちゃんと場地君が何のために命を張ったと思ってるんすか?マイキー君だけじゃないアンタの為でもあったんだろ。2人は一虎君に死んで欲しくなかったから、過去にちゃんと向き合って欲しかったから、命をかけてまでアンタを救うことを選んだんだ。」
「......ッ!?」
「裏切り者だって罵られるのも、死ぬ可能性も覚悟の上でそれでもアンタが大切だから、アンタを仲間だと思ってたから自分たちが傷ついてもアンタを責めなかった。それだけ覚悟があったんだよ!傷つく覚悟がだぞ!?たった14、15歳の子供がだ!!その覚悟を踏みにじるつもりなら、俺はアンタを許さない!!!」
「自分たちが傷つく覚悟.....場地。リッカ。」
【タケミっち......】
普段弱々しくしているタケミチが一虎の胸ぐらを掴み目に涙を浮かべながらも睨みをきかせる姿に一虎はハッとしたような顔をして2人を見つめる。
それを見たマイキーもドラケンも三ツ谷も千冬も驚いたように目を見開いていた。
「一虎。気持ちは分かる。でもリッカと場地が傷ついたのはオマエとマイキー.....いや東卍(オレタチ)を思ってのことだ。抗争が始まれば傷つくことくらい分かってただろ。」
「.....」
「それだけじゃなくて俺たちはアイツらに命を張らせた。オマエだけが責任を感じることねぇよ。止めれなかった俺たちにも非はある。でもリッカと場地の気持ちも少しは汲んでやれ。」