第16章 小さき眠り姫
それからリツカと場地はそのまま集中治療室【通称ICU】に送られた。
マイキーたちはそんな2人を追いかけ、ガラス越しから見える眠る彼らの姿を眺めていた。
「リア、場地、絶ッ対ェ起きろよ。エマがみんなでハロウィンパーティーやりたいってさ。オマエらの仮装とかいっぱい集めて楽しみにしてて.....それでえっとその....えっと。」
「エマのやつさ、マイキーの衣装に何選んだと思う?赤ずきんちゃんだぜ?ウケるだろ?」
「本当それだよな。しかも衣装全部俺が作らせようとしてるんだ。こき使い荒ーよな。リッカオマエいないと追いつかねぇわ。それに場地も採寸終わってねぇし。」
「親友、場地さん.....2人が目覚めるのを楽しみにしてる人がいっぱいいるんです。だから─────」
「早く目覚めてくれよ。2人がいねぇとみんな寂しいんすよ。」
みんな泣きながらリツカと場地に問いかける中、一虎だけは無言で2人を見つめていた。
「一虎君?」
「....んで....よ」
「え?」
「何でだよ。何でこんな俺を見捨てなかったんだよ。場地。リッカ」
「一虎!!!リアと場地が仲間の為なら傷つくのを無視することくらい。オマエもわかってんだろ!オマエ何言ってんの?」
「それでも!何でオマエら芭流覇羅に来たんだよ!東卍にいればこんな事にはならなかったじゃねぇか!最初から俺なんて見捨てればよかったじゃねーか!どう考えても俺に命をかけて救う価値なんてねーだろ....真一郎君も場地もリッカも手に掛けようとした俺に.....」
「【へぇーオマエがマンジローの友達か仲良くしてやってくれよな?】」
「【は、ハイ】」
『【何緊張してんのさ一虎!あはは!】』
「【なあ?一虎ァ!真一郎君カッケーだろ?】」
自分が罪を犯さなければあったはずの未来に一虎は涙を流し、己を犯した罪がいかに大きかったことを悔いた。