第16章 小さき眠り姫
「2年も経ってちょっとは目立たなくなったけどそれでもアイツの左側の鎖骨から腕にかけてデッケェ火傷の痕がある。俺たちのトラウマと言ってもいい。」
「それって.....」
「9代目黒龍......俺たちの初めての抗争の後の事だった。リアは黒龍の残党に捕まって拷問を受けた。」
「拷問!?」
突然告げられた衝撃の事実にタケミチは思わず叫んでしまう。
アニメや漫画の世界なら納得が行くがまさか現実世界のましてやこの時代で拷問なんてものがあったなんてと思わず目を見開いた。
「俺たちの情報を吐くように言われたんだよ。妹を人質に取られてな。妹を解放する。その条件でアイツはろくに抵抗できずに誘拐されて情報を吐かされそうになった。でもリッカは妹が開放された瞬間抵抗したんだ。だから拷問を受けた。」
「酷かった。一方的に暴力に加えて"アシッドアタック"ってわかるか?それをされたんだ。」
「アシッドアタック?」
「硫酸や塩酸、硝酸を顔や身体にぶっかけて火傷を負わせる行為のことだよ。」
「へ、へぇ.....知らなかったッス(想像するだけでもゾッとするな。めっちゃ痛そう.....)」
「だろうな。知らない奴の方が多いしな。」
「....俺たちが駆けつけた頃にはリアの腕はもう焼け爛れてた。それでも1人で戦ってたんだ。」
今も目を瞑るだけでその日の光景が蘇ってくる。
俺たちが着いた頃にはリツカも相手も血まみれで、ただ無表情で人を殴り続けていた。