第15章 血のハロウィン
「え?」
「リッカ!場地!!おい!しっかりしろ!頼むっ!オマエらが死んだらまた俺たちはっ!」
「リッカ!場地!返事しろ!オイ!」
「場地さん!!ダメです!目を開けてください!」
悲痛の叫びをあげる三ツ谷、ドラケン、千冬の声も虚しく、光を失ったリツカのタンザナイトの淡い瞳と場地のシトリンの瞳にゆっくりと蓋がされていく。
「オイ!救急車呼んでんのかよ!」
「呼んでるよ!!なんでまだ来ねぇんだよ!!」
「リア、場地!死ぬなっ!勝手に死ぬの許さねえって言ったじゃん!頼む!リア......場地......置いてくなよっ.....!!」
『(みんな.....ごめんね.....ちゃんと目覚めるから.....だから今は少し寝かせて.....とっても眠いんだ.....)』
瞼が最後まで閉じられた時、細い蜘蛛の糸だったリツカの意識はプツリと音を立てて切れ、深い深い無意識の海へと沈んで行くのだった。
「リア!!」
「場地!!」
リツカの意識が事切れた瞬間
遠くからサイレンの音が響き渡る。
「警察(サツ)だ。」
「帰んぞ。オマエら」
「ウッス」
「解散だ!はけろ!はけろ!」
サイレンを聞きつけたギャラリーの面々が次々とその場を後にしていく。
「警察(サツ)だ。マイキー。行くぞ。」
「リアと場地を置いていけるワケねぇだろ。俺はリアと残る!俺はコイツを守るって.....約束したんだっ。」
「マイキー君......」
マイキーは冷たくなりつつあるリツカを抱きしめる。
もうマイキーの精神は普通ではなかった。
みんな子供なのだ。
大切な人が目の前で死ぬところなんて誰も見たことがない。
大切な人を失う恐怖から誰もが縫い付けられたようにその場から動こうてしなかった。