第15章 血のハロウィン
『マイキー!!!』
「「「!」」」
男ばかりのむさ苦しいその場に似つかわしくない高く凛とした声が響き渡り、誰もが声の主に視線を向けた。
自分でも大きな声が出たと思った。
痛い痛い傷が痛いでも.....それ以上に心がすごく痛い。
だから止めないと。みんなを.....マイキーを止めないと。
リツカは襲いかかる激痛に耐えながらヨロヨロと立ち上がる。
『タ、ケミチ.....勝手に.....こ、ろさないで....よ。みんなも......勝手に私を、殺しすぎ、』
「リッちゃん!」
『マイキー....私のっ、為に怒ってくれて.....ありがとう.....』
立ち上がったリツカはふらつく足でゆっくりとガラクタの山を下っていく。
『でも、お願い....もうやめて.....カハッ!!』
「隊長!!」
痛みで涙がこぼれ落ちる。
息が出来なくて、止めたいのに体が思うように動かない。
血が止めどなく溢れて目の前が暗くて、足に力が入らず、何度も膝を着く。
それでもフラつきながらも立ち上がるリツカにマイキーも一虎も誰もが信じられないという眼差しで彼女を見つめ、一虎を殴る手をやめて歩み寄る。
「動いたらダメです!!リツさん!」
『海國....止血の、仕方わかるでしょ.....圭介....頼んだ。』
「でもっ」
「どう見てもあなたの方が重傷じゃないですか.....」海國は心の中で抗議する。
しかし、リツカはにっこりと笑うと海國の肩にポンと手を置きまた、静止する海國の声も聞かずリツカはガラクタの山を降り始める。
『私は....死なないよ....こんな傷じゃ、私は死なない。』
「嘘だ....(絶ッ対ェ致命傷のはずだ!)」
「リア......」
『マイキー.....ゴフッ.......ゲホッゴホッゴホッ...』
リツカは横目で殴りあっているマイキーと一虎を見ると動かない身体を無理やり動かす。
動く度に血が溢れ出し、地面を真紅に染め上げる。
「リッちゃん!動いちゃダメだ!!」
『平気、だよ.....ハァハァ.....ゔっ.....』
ゴフッ!!と大量の血を吐いたリツカは服の袖で乱雑に血を拭うと、呆然と自身を見つめるマイキーの腕に縋りついた。