第15章 血のハロウィン
『なら良かった......』
「あ?何言ってんだ。リアァ、オマエ刺されたんだぞ.....」
ほっと胸を撫で下ろすリツカとタケミチに場地は訝しげな視線を向ける。
『わかってるって。それより....』
「ああ。わかってる。俺らは稀咲をやる。黙って見とけ!タケミチ!」
もう戦況がどうなってるのか分からない。
抗争が始まって、マイキーが倒されて、稀咲が助けて、場地とリツカがその稀咲を、そして一虎が場地を刺そうとして、結果的にリツカが刺された。
ただわかることは、目の前にいる稀咲を倒すことだけ。
『(めちゃくちゃすぎる....でも今は私たちのやるべき事をするしか無い。)タケミチ。タケミチは何がしたい?』
「え?」
『タケミチは今何がしたい。』
「俺は.....俺は東卍のトップになるために稀咲を潰す!!」
「へぇーオマエらも稀咲を」
『圭介』
「ああ。」
2人は顔を見合わせると4人に向かって拳を向ける。
【ぐあ!】
「邪魔すんな。」
「なんで!2人でやる必要ないじゃないですか!?」
意義を唱えるタケミチに場地とリツカは鋭い視線を向ける。
「ッ.....!」
「いいかタケミチよく聞け。稀咲は敵だ。」
「!」
「俺たちでアイツを殺す!俺たちで倒せなかった時オマエらがアイツを倒せ。いいな。」
「!は、はい!」
「バーカ。声がデケェよ。」
『タケミチ.....オレの.....ううん。私の代わりにマイキーを.....みんなをお願いね。多分私じゃもう無理だから。』
「え?リッカ君それってどういう────」
『圭介、行くよ。』
「おう」
問いかけるタケミチの声を無視し、リツカは背を向けると稀咲を睨みつけ歩いていく。
「何焦ってんスか。隊長」
「え?」
海寿の一言にタケミチは疑問を覚える。
焦っているようには到底見えなかったからだ。