第14章 嵐の前の静けさ
自分の胸板を押すリツカの瞳に涙が浮かんでいる事を理解したマイキーは驚きの表情を浮かべる。
「ッ!?」
『もう.....いやっ.....マイキーなんて大っ嫌い!ずっとずっと隠してたのに!女の私じゃマイキーの傍に居れないってわかってたからずっとずっと隠してたのに....一虎に身体を暴かれるのも耐えたのにっ!半間とは何も無いのに、決めつけるし!話聞いてくれないしッもういやだぁ.....!』
「落ち着けって!リア!」
『本当は敵になんてなりたくなかった!あなたの傍に居たかったよ!でも、それじゃ圭介は1人で無茶しちゃう!マイキーの大切な人がまた居なくなっちゃう....だから我慢したのにっ。マイキーさえいれば良かったのにっ!もう大嫌いっ知らない!嫌っ!!』
「〜〜っ!!リア!」
『え.....?』
腕の拘束を外され、腕で顔を覆い泣き出したリツカは突然腕を引かれると気づいたらマイキーの腕の中にいた。
「ごめんな。リア。今までずっと俺の為に耐えてきたんだな。」
『いや。離してっ!私に触らないで!!!』
「やだ。なぁ"リツカ"。好きだ。オマエのことが大好き。」
『え......?』
「出会った時からずっと好きだ。オマエのこと兄貴にも、一虎のにも、誰にも渡したくないくらい大好きなんだ。俺も本当はオマエと敵になんてなりたくなかった。リアが居るだけで良かったんだ。だから大嫌いなんて言うなよ。謝るから....許してくれなくてもいいから.....オレのこと嫌いにならないで....」
告げられた愛の言葉にリツカは目を見開く。
微かに彼の体が震えていて、おもむろにリツカはソッと手を回した。
『ほん....とに?』
「嘘つくわけないだろ。」
『.....私は....私は......』
私もあなたのことが好き。でもそれは今は言えない。
私たちは敵同士.....今想いを伝えてしまえば、きっと決意が揺らいでしまう。
未来を変えるためにも圭介を1人にする訳には行かないのだ。
決心が揺らぐことは許されない。
だから......だからせめてこれで思いが伝わって欲しい。
言葉では言えないからせめて行動でこの想いがこの熱があなたに伝わって欲しいと思った.....