第14章 嵐の前の静けさ
「天使チャン頑張れよ〜」
『(アイツッ!後で絶対覚えとけ!)』
後ろから呑気な声が聞こえるが私は返すことが出来なかった。
それからは会話はなかった。
ただ流れるようにバイクに乗せられ、流れるようにマイキーの家へと連れていかれた。
空は既に日が暮れていて、空には満天の星が輝き、気温が低いのかそれとも恐怖なのかずっと身体が震えていた。
『やっ!』
引きずられるようにして部屋に連れ込まれるとベッドに投げられ、上からマイキーが覆い被さった。
「リア」
『ッ....!』
腕は抵抗を許さないようにベッドに縫い止められ、馬乗りにされては流石のリツカも抵抗できなかった。
「なぁリア。俺たちもう戻れねぇのかな?」
『何言って.....』
「元に戻れねぇのかな?あの頃みたいに.....」
『戻れないよ』
そう告げられた瞬間
マイキーの身体から力が抜け、リツカは腕だけでも拘束を解く。
『もう無理だよ』
「ツ!」
『もう私たちは敵同士。抗争が始まってしまえば争うしかない。もう私たちの目指す道は違えたんだよ。諦めて。』
「兄貴なら......兄貴ならどうすんだろう。」
『知らないよ。自分で考えたら?もう私一虎のとこ行くから離して。』
「そっか。」
リツカはあえて冷たくあしらうと伸ばされた手を叩き落とした時だった。
また伸ばされた手がリツカの両手を一纏めにして力強く拘束したのだ。
『ちょっ!!マイキー!何す────』
何するの!そう言葉を発そうと口を開けるとマイキーによって口を塞がれる。
『んんっ!!ちょっ....マイ、はぁっ....んんっ!』
マイキーの舌がねっとりとリツカの舌へ絡みついてくる。逃げるように舌を奥へと引っ込めば、その舌を追うようにしてマイキーの舌が中へと入って来て、歯列をなぞり、舌を絡められ強制的に快楽を味合わされる。
『やっ....ふっ....んんっ!』
じゅっじゅっぐちゅっと音が部屋に鳴り響き、最初に抵抗していたリツカも与えられる快楽に身を委ねてしまう。
ゾクゾクと身体に何かが走り、リツカが脱力するとようやくマイキーは口を離した。
ツーと2人の唇の間に銀の糸が引いて、プツリと切れる。