第14章 嵐の前の静けさ
卍 卍 卍
2005年─────10月29日
「おーい!ボーッとしてどうしたよ。リアァ」
『え?』
微睡みの中にある意識を何者かによって無理やり覚醒させられる。
タイムリープの影響でグラグラつく頭を抱えながら、今の状況を把握するために周りを見渡すと、夕暮れ時に場地の部屋で場地と向き合っていた。
『圭介?』
「おう。」
『(え?何?どういう状況?)』
「ンで?稀咲の狙いはなんなんだよ。」
『あ〜ごめん。圭介、どこまで話したっけ?』
全く呑み込めない状況にリツカは状況を把握するために場地に問いかける。
「あ?稀咲が芭流覇羅のトップかもしれないって事と、アイツの新しい腹心が半間だってとこまでは聞いた。」
『ああ。そこまでか。』
納得したリツカは場地がわかりやすいように言葉を砕きながら、稀咲の狙いがマイキーである事、8・3抗争全てが稀咲の思惑だったことを話す。
『圭介の話が本当なら稀咲はパーの無罪を餌にしてマイキーに取り入った。それは恐らくマイキーを意のままに操り、東卍の影の支配者になるため.....』
「あいつは東卍を使って何がしたいんだ?」
『それはまだ分からない。これだけ調べあげても氷山の一角くらいだろうから分からないのかも......多分すっごく根深い。』
「一虎は利用されてるのか?」
『恐らくはかな。一虎はマイキーを恨んでる。その弱みに稀咲は漬け込み、駒の一部にしようとしてる。あいつにとって人の命なんて道具でしかないんだよ。』
「クソッ!アイツ絶ッ対ェぶん殴る。」
『私たちの仲間に手を出したこと絶対後悔させてやろう。』
怒りを顕にした場地に賛同するようにリツカも頷く。
それはそうだ。
彼が東卍を裏切ろうが、マイキーを恨もうが2人にとって一虎は大切な仲間以外の何者でもなかった。
『決戦まで今日合わせてあと3日....それまでにもっともっと稀咲の事について調べあげないとっ!確たる証拠だってないし、これだけじゃアイツを東卍から追い出せない。』
「でもオマエ、寝てねぇだろ。」
『え?』
場地の目の前には、少し顔色が悪く、目元には美形の顔に似合わないほど濃いクマのあるリツカが立っていた。