第14章 嵐の前の静けさ
「嘘だ。マイキー君が人を殺すわけないっ!!」
「オマエはあの時のマイキーの立場になっても、一虎を殺さないと言いきれるのか?兄貴を殺した仇だぞ。そしてあの日、場地を目の前で殺されたんだぞ。」
『っ.....!?え.....圭介を殺したのは一虎?』
「一虎君が....場地君を?」
「オマエらも見てだろタケミっち。リッカ」
『嘘.....嘘だよ.....一虎がそんなこと.....!それに稀咲の狙いが私だったのなら....なんで関係の無いマイキーを!!』
「.....そう。稀咲の狙いはマイキーじゃなくてオマエだった。それがマイキーが堕ちたもう一つの理由だ。」
『え?』
ドラケンはそう言うと冷たい目で自分よりも一回りも2回りも小さいリツカを見下ろす。
その目は酷く冷たくて、背筋に冷たいものが走る。
「マイキーはオマエを新生 東京卍會のトップにしないために、稀咲に取り入って自ら生贄になったんだ。」
『え.....うそ.....』
「嘘じゃねぇ。オマエを守るために堕ちたんだ。オマエを稀咲の呪縛から逃がすために。」
『私の.....為に.....?』
「リッカ。なんであの時芭流覇羅に行った?オマエがアイツの傍を離れなければこんな事にならなかったんだぞ。マイキーも堕ちてなかったかもしれなかったんだぞ。オレはオマエに託したはずだ。東卍の道標になれと。」
『私のせいで.....マイキーが?一虎がみんなが死んだのも......あ、ああ、ああぁぁぁっ!!』
「義姉さん!」
ガクッと崩れ落ちたリツカは涙を浮かべながら絶望し、自身の手を見つめると顔を覆い隠す。
そんな彼女をナオトは急いで抱きとめる。
「オマエさえいれば俺たちは別の道を選んでたかもしれねーな。」
あの時と同じセリフを言ったドラケンはまた冷たい鉄格子の部屋へと帰っていく。
『私の、せいで.....みんなっ.....みんなっ......ごめんっ.....ごめ、ごめんなさいっ!!』
「リッちゃん.....」
「義姉さん.....」
力なく拘置所を後にした3人はしばらく道なりに道を歩いていった。