第14章 嵐の前の静けさ
『(なんの事?私達もその場にいたの?)』
「12年前"血のハロウィン"東卍は芭流覇羅に乗っ取られ、芭流覇羅を母体とした新生 東京卍會が出来た。それが今の東卍だ。」
「(血のハロウィン?)」
『それって.....10月31日の圭介が殺された....あの?』
「東卍対芭流覇羅の決戦の日?」
「そう。あの日初めて東卍は初めて負けた。」
「え!?負けるんすか!?無敵のマイキーがいるのに負けるわけ!」
「いや、マイキーのせいで東卍は負けたんだ。」
「....マイキー君の....せい....?」
「あの日なんで俺は気づいてやれなかったんだろう。マイキーの.....まだ15歳のガキの背負った。でっけぇ十字架を。」
その瞬間
リツカの脳裏に存在しないはずの記憶が次々と浮かんでくる。
「【やめろ!マイキー!!!】」
叫びながら止めるドラケン
血を流し倒れている圭介
殴られ続ける一虎
殺意の籠った瞳で一虎を見つめ殴り続けるマイキー
脳裏に浮かんだ記憶はリツカを苦しめるには十分だった。
心臓がまるで誰かに掴まれたように痛くなり、呼吸が出来なくなるのを感じた。
「あの日、マイキーは一虎を殺した。」
『一虎......が、死んだ?』
「え?」
あまりの衝撃の事実にタケミチの身体から力が抜ける。
『一虎を殺したって事は.....マイキーは.....』
「いや。違う。」
『「え?」』
「マイキーは捕まらなかった。何故なら稀咲が身代わりを用意したからだ。マイキーは堕ちた。
東卍は芭流覇羅に乗っ取られ、総長マイキー、そして総長代理 稀咲鉄太を筆頭とした巨大組織へと膨れ上がった。」
そう言ってドラケンは立ち上がると打ちひしがれる2人を見下げる。
「今思えば稀咲が東卍に入ったのは初めからオマエとマイキーが目当てだったんだろうな。」
「ちょっと待ってくださいよ。マイキー君が一虎君を殺した? 」
ドンッ!!とタケミチは3人を隔てるガラスを叩く。