第14章 嵐の前の静けさ
卍 卍 卍
2017年────10月29日 現代
「悪いな。ナオト。いつも無理言って」
『ごめんね。』
「構いませんよ。もう慣れましたし。それにしても義姉さん。随分と無茶しましたね。」
『それにつきましてはめっちゃ反省してます.....ごめんなさい。』
「で、彼に何を聞きたいんですか?」
廊下の突き当たりを曲がり、面会室と書かれた部屋へと入っていった。
「また来たのか。タケミっち、リッカ」
「何度も押しかけちゃってすみません。」
『ごめん。ドラケン』
「東京から出ろと言ったはずだぞ?」
「1つだけ聞きたくて。12年前総長不明の暴走族、芭流覇羅がいたのを覚えてますよね。」
「ああ。」
「その総長(トップ)は稀咲なんですか!?」
タケミチとリツカに緊張が走る。
問いかけられたドラケンは目を伏せると低い声でそれを否定した。
「いや。違う。」
「え?」
「首のない天使(芭流覇羅)の首(トップ)はマイキー.....いや本来ならオマエになるはずだった。本来の首(トップ)はオマエだ。リッカ」
『え?』
その瞬間、強烈な目眩がした。
芭流覇羅のトップが私?
ドラケンから告げられる言葉はあまりにも現実離れしており、受け入れるには到底無理だった。
「芭流覇羅はオマエの為に作られたものだ。」
『私の為に作られたチーム......?』
「そ、そんなの!有り得ないじゃないですか!」
『そうだよ!私は東卍の特攻隊の隊長だよ!?』
「有り得ない?オマエらも覚えてるだろ?」
思わず立ち上がった2人をドラケンは冷たい目で見つめる。
その眼差しはまるで嫌悪する相手を見るように酷く冷たく、リツカは思わずゴクリとかたずを飲む。