第3章 タイムリープと決意
「僕にはわかるんです。12年前タケミチ君と"握手"した時過去のタケミチ君から"君"が消える感じがした。」
────「トリガーは僕との"握手"です。」
「握手...か。」
自信満々にそう言ったナオトにリツカの眉がピクリと動いた。
『え、ちょっと待って私は?』
「おそらく義姉さんのトリガーはその指輪です。」
ナオトはそう言うとリツカの胸につけられたネックレス状の指輪を指さす。
これは昔、佐野万次郎...
つまりマイキーに貰ったものだ。
昔、お守りと言って誕生日プレゼントとして渡された指輪。
マイキーと対に作られている俗に言うペアリングで、リツカにとって大切な宝物の1つだった。
それがまさかトリガーだとは思わなかったのだろう、リッカは驚いた様子で指輪を見つめる。
「もっと詳しく言うと、指輪をして"約束すること"がトリガーです。そしてその約束が達成されるまで義姉さんはこっちに戻って来れないと思われます。」
「...」
『...』
開いた口が塞がらないとはこの事なのだろう。
自分たちでも自覚していなかった能力についてのことに淡々と話すナオトに2人はそうか...と心の中で納得した。
「『(ぶっ飛んだ奴だと思っていたけど、ナオトは俺 / 私 達がタイムリープできると信じてるからここまで本気なんだ...)』」と。
「2人とも準備いいですか?」
振り返ったナオトが覚悟を決めた瞳を2人に向ける。
「ああ」
『いつでもいいよ。』
こくりと頷き、グッと拳を握る。
「(俺だって橘を救いたい気持ちはナオトに負けてねぇ!!)」
『(私はマイキーもドラケンも杏花も皆を救いたい...もう目の前で大切なものが消えるのはたくさんだ。
運命も未来も過去も全部、全部...私が変えてやる!!)』
握りしめた拳を見つめるその4つの眼にはもう迷いなんてなかった。
ナオトと同じように強い覚悟を持った瞳が輝いていた。