第14章 嵐の前の静けさ
卍 卍 卍
「そっか....兄貴の話聞いたか。」
佐野家の墓に手を合わせていたマイキーが目を開けると悲しそうな眼差しで墓を見つめる。
「かっけぇ人だったな。真一郎君」
「ウン」
「タケミっち。俺らもわかってんだ。あの事件は今更どうにもならねぇ。場地も一虎もあんなことしたかったワケじゃねぇ。リッカなんて事故みてぇなもんだ。それでもアイツは2年間ずっと自分のことを責め続けてる。」
「そう.....今更しょうがねぇってわかってる。
でも──────」
────「心が着いてこねぇ」
ふわりと風が吹く。
それはまるで嵐の前の静けさ彷彿とさせた。
墓を見つめるマイキーの顔は心做しか悲しそうに見え、タケミチは心を傷める。
それから6人はマイキーのバイクが止めてある駐車場までの道のりをゆっくりと歩いていく。
「場地と一虎が盗もうとしたCB250T(バブ)は兄貴が乗ってたバブなんだ。」
「え!!」
「俺の誕生日にプレゼントしてくれるハズだった。兄貴の形見のバブ。俺の今の愛機だ。」
次々と告げられるマイキーの過去にタケミチは思わずゴクと固唾を飲む。
「あれから2年.....場地の事は許したが。でも知らなかったとしても、今更どうにもなんなくても、兄貴を殺し、リアに一生モノの傷を負わせた一虎だけは一生許せねぇ。場地とリアが一虎側に行くのもな!」
同じ人間が発した言葉なのか分からないほど、低く、殺気が混じりあった声にタケミチの背中にゾクッと冷たい何かが走った。
「タケミっち。俺は場地を連れてこいと頼んだハズだぞ。なんでリアが芭流覇羅に行って、場地とリアんとこの副隊長がここにいるんだ?タケミっち。マジで死にてぇの?オマエ何がしてぇの?」
「俺は.....」