第14章 嵐の前の静けさ
「なぁ千冬。コイツが例のやつ?」
千冬の後ろで柵に寄りかかっていた千冬と同じく包帯やら湿布やらをした1人の少年がギロリとタケミチを睨みながら歩いてくる。
「おう。新 参番隊隊長 任命式をぶち壊した奴。」
「ああ。あの.....」
「ふーん」
「ん?この人たちは?」
「あぁ。紹介するよ。青髪の方が花瀬海國、赤髪の方が花瀬海寿、2人とも東京卍會 特攻隊の副隊長だ。」
紹介された2人は、身長は場地を優に超えてるのではないかという長身で、インテリ系の雰囲気を漂わせ、左側の首にお揃いのウロボロスのタトゥーを入れた少年が海國(ミクニ)
同じく長身で柄の悪そうな態度に右側の首にお揃いのウロボロスのタトゥーを掘った方が海寿(ミコト)
正反対のように見えるが2人とも特攻隊副隊長だという事実に驚愕すると共に特攻隊だけ副隊長が2人居ることにタケミチは疑問を覚える。
「(特攻隊だけ副隊長が2人?なんでだろ。)」
「オマエが"タケミチ"?」
「は、はい。」
「へぇコイツがね。どー思うよ兄貴!」
まるで品定めでもするかのように興味津々に見つめる海寿と呼ばれた青年は、後ろに立っていた同じく顔に包帯やら湿布やらをした海國に視線を向ける。
「随分と.....ヒョロいな。」
「だよなー」
バカにするように呟かれた言葉にタケミチはムッとすると海國と呼ばれた男はククッと喉を鳴らして笑う。
「リツさんからよくタケミチっていう名を聞いていて、一体どんな強者かと思っていましたが.....」
「こんなの兄貴でも腕一本で勝てちまうほどヒョロッヒョロじゃねぇか!」
「オマエなら手だけで事足りるな。」
「なっ!」
「有り得ねぇよ。何でこんな奴が隊長のオキニなんだよ。」
「多少無謀な事をする所は似ていますが....隊長と気が合うという雰囲気でもないのに....」
「「一体コイツのどこがいいんだよ/ですか!」」
「は?」
突然気が狂ったようにガクッ!と顔を両手で覆いながら膝を着き、嘆く2人にタケミチは理解できないのか、意味がわからねぇという表情を浮べる。
リツカは彼らの事を頭がいいと言っていたが、どう見ても2人揃って頭が悪いようにしか見えない。