第14章 嵐の前の静けさ
「それにしてもどうしよう」
通話が終わったあとタケミチは遠い目をする。
場地に続きリツカまでもが芭流覇羅に行ってしまった。
稀咲のクビに啖呵を切り、連れ戻してこなければ殺す宣言を受けた挙句、まさかの場地とリツカを易々と芭流覇羅に奪われたとなると、マイキーから確実に殺されるだろう。
作戦を立てようにもマイキーのあの鋭い眼光が脳裏にちらつき邪魔をする。
結局考えても考えてもいい案は浮かばず、気がつけば夜が明けていた。
「はぁ寝れなかった。26歳なのに...」
身体は14歳でも中身は26歳
中学生の戯言なんて一蹴すればいいはずなのに、タケミチは恐怖からか一睡もすることが出来なかった。
結局、マイキー君になんて言おう....
「オイ!そこの金髪!」
「へ?」
「こっちに来い!」
少し低く透き通った声が聞こえ、タケミチがチラリと視線向けると顔に大怪我をおった金髪の少年と顔のよく似た赤髪の少年と青髪の少年が空いたブランコを指さしていた。
「ま、座れよ。」
「(え.....誰?怖っ....めっちゃ怪我してるし。明らかにやべー奴らじゃん)シカトシカト」
自分に言い聞かせるようにタケミチはブツブツと呟きながら少年の誘いを無視する。
「昨日はお互い災難だったな。」
「え.....?昨日?」
「場地さん、カッケーだろ?」
「場地君のお友達?」
「東京卍會 壱番隊副隊長 松野千冬だ!」
千冬と名乗った少年の顔を見た瞬間
昨日場地に殴られている少年の顔がタケミチの中で連想される。
「場地にボッコボコにされてた人じゃん!」
「オマエもな。」
そう言って千冬は指を指すタケミチの肩を突き飛ばす。