第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
「あの日俺らは決別した。」
【オレ10コ上の兄貴がいてさ死んじまったんだけどね。】
いつかのマイキーが話してくれた10コ上の兄のことがタケミチの脳裏を過る。
「でもちょっと待ってくださいよ。リッカ君は!リッカ君は関係ないじゃないすか!」
『関係ならあるよ.....』
「へ?」
『シン兄はあの日マイキーたちが待つ家に帰るはずだった。でもそれを私が引き止めた。もし私があの時引き止めなければ.....バブが盗まれただけでシン兄は今も生きていたかもしれない。私もシン兄の殺しに加担したようなものだ。』
悔やんでも悔やみきれるものでは無い。
起こってしまった現実は何人たりとも覆らないのだ。
苦しそうにそう告げるリツカの顔は悲痛そうに歪んでいた。
「(マイキー君の兄貴が死んだってこの3人が原因だったんだ!)」
「一虎が庇ってくれたから俺は年少に入らずに済んだ。俺は一虎が出所するのを待ってたんだ。」
『私たちはどうせあの日から引き返せない。だから私も2人ととことん堕ちるって決めたんだ。この傷がある限り私は一虎を裏切らない。』
そう言ってリツカは上着のボタンを外すとタケミチに向かって背中をさらけ出す。
「ッ....!?」
その背中にはサラシが巻かれていたが、サラシから垣間見える肌にはなんとも痛々しい大きな傷が残っていた。
しかし、鎖骨から腕にかけて明らかにプライヤー以外でつけられたようなケロイド状の火傷の痕も痛々しく残っていた。