第12章 運命の天秤
「何してんだよ!一虎ぁ!!」
「しょうがねぇだろ!見られたんだからよぉ!!」
「違ぇよ!!そういう事じゃねぇんだよ!!」
「真一郎君はマイキーの兄貴なんだよ!!!それにもう1人はリアァだ!!」
「......え?」
「真一郎君!!!リアァ!!」
「マイキーの.....兄....貴....と....リッカ?」
「どうしよう....どうしよう。一虎ぁあ。真一郎君....息してねぇよ。リアァも....脈が弱くなって、きてる」
「この人がマイキーの兄貴?嘘だろ?」
「俺らが盗もうとしたバイクはマイキーの兄貴のCB250T(バブ)だったんだ....どうしよう」
「俺じゃねぇ俺は殺してねー」
何か暗示をかけるように一虎はブツブツと呟く。
「そうだ!救急車呼ばねぇと!救急車を呼んで逃げよう一虎ぁ!」
「マイキーの為にやったのになんで.....」
「一虎?」
「逃げでも無駄だ。リッカ。リッカが居る....」
その瞬間
遠くからファンフォンファンとパトカーのサイレンの音が鳴り響く。
どうやら不審に思った近所の住人が警察を呼んだようだった。
「ヤべ、サツだ!とりあえず逃げるぞ!一虎ぁ!」
「なんで....こんな....全部マイキーのせいだ。だから───」
「.....?」
─────マイキーを殺さないと
向けられた目は人殺しのこれでゾクッ!と背筋に冷たい何かが走る。
しばらくして到着した警察官に場地と一虎は捉えられると手錠をかけられ、パトカーへと連れ込まれる。
2人が捕まり、一虎が場地を庇って少年院に入ったことを聞かされたのは数日後の事だった。