第12章 運命の天秤
『いやああぁぁぁぁっ!!』
リツカは受け入れ難い現実に叫ぶと急いで真一郎の元へと駆け寄る。
『シン兄!シン兄!!』
リツカは顔を青くして駆け寄ると、恐怖で動かない身体を引きずって必死に真一郎の身体を揺すった。
しかし、いくら真一郎の身体を揺すっても真一郎は一向に動かない。
溢れ出した血が床を真っ赤に染め上げ、リツカは絶望しながらも、場地に視線を向けた。
「リアァ?」
『圭介なんでなんで!シン兄を!?』
「チッ!まだ居たのかよ!」
忌々しそうな声が聞こえ、目の前にいた男がプライヤーを振り上げる。
そんな中リツカはまるで真一郎を庇うように背を丸めた時だった。
背中に痛さを超えた灼熱感が襲った。
『ああぁぁぁぁっ!!』
「逃げんぞ!場地!」
『うぐぅぅ......一虎ぁ....圭介....なんで?』
なんでシン兄を......
疑問だけが脳裏に浮かぶ。
なんで?どうして?なぜ?シン兄が殺されなければならないのか。
ずっとずっと疑問だけがリツカの脳裏に浮かぶ。
涙がこぼれ落ち、リツカはゆっくりと目を瞑る。
涙がこぼれる度、血も段々と失われていく。
背中の灼熱感が収まらず、心臓が鼓動をあげればあげるほど痛みが襲ってくる中リツカは意識を手放した。