第12章 運命の天秤
『それでね。これがいいと思うんだけど─────』
─────パリン.....
数分....いや数時間だろうか。
時間なんて忘れ2人でマイキーの誕生日プレゼントを考えている時だった。
1階の方から微かにだか何かが割れる音が聞こえ、一瞬にして真一郎の顔が曇ると、スッと立ち上がる。
『シン兄.....?』
「下で何か音がした。」
『え....』
「ちょっと見てくるからオマエはここで待ってろ。」
『そんな。危ないよ。私も一緒に行く。』
「オマエに何かあったらマンジローに顔向けできねぇ。大丈夫。見てくるだけだからちょっと待ってろ。」
『それはシン兄も同じだよ!』
「大丈夫だから。な?すぐ戻ってくるから。オマエはここで待ってろ。」
真一郎は優しい笑みを浮かべリツカの頭を撫でるとスパナを持って下へと降りて行った。
『.....っ』
そんな彼を見送ったリツカは狼狽えながらもしばらく考えるとうん。と覚悟を決め、真一郎にバレないように後ろから着いていく。
「オイ!!なんだ?ドロボーか?誰の店に入ってんだ?コラ。」
『(シン兄。危ないよ!)』
暗闇にいる誰かに問いかけながら真一郎は奥へ奥へと進んでいく。
「舐めた真似しやがって.....逃がさねぇぞ!ゴラァ!」
『(どうする?私もシン兄に加勢するか....?でも邪魔になるんじゃ....)』
不安と焦りが心の中に募っていった。
真一郎が奥へと進む度にリツカも一定の距離を保ちながら奥へと進んでいく。
「ん?オマエ。見たことある顔だな?」
『(え?シン兄の知り合い?)』
その瞬間
言いようのない不安がよぎる。
「ケースケか?」
『!?(なんで圭介がここに!?)』
「し....真一郎君....?なんで....なんで...ここに?」
「あン?ここ、俺の店だもん。」
「真一郎君の!?」
その瞬間、外から勢いよく誰かが入ってくる。
『(嘘!仲間がいた!? )シンに────』
「やめろ一虎あぁぁぁ!!」
場地の叫びと共にグチャッ!!と何かが潰れる音がした。
理解が出来なかった。
微かにだが見える視界の中、真一郎の身体は踊るようにして宙を舞うと勢いよく地面へと倒れる。