第12章 運命の天秤
「待たせたな。リツカ。まず手当から始めるか。」
そう言った真一郎は棚から救急箱を取りだし、リツカの傷を手当していく。
『シン兄。ごめんなさい。』
「いつも言ってるだろ?謝んな。俺は気にしてねぇから。」
『でも.....』
「可愛い将来の妹が来るのを嫌がる兄貴がいるか?いねぇよ。」
『シン兄気が早いよ。まだ付き合ってもないのに』
「ははは!(マジかオマエらまだ付き合ってなかったのか....)それにしてもまた派手にやったな。お袋さんか?」
『....今日は躾用の鞭だった。』
「そうか。」
真一郎は唯一リツカが女だということを知っており、リツカの家庭事情も知っている。
そんなリツカを放っては置けず、家を追い出された時は自分の家に来いと何度もリツカに言い聞かせ、リツカが訪れる度に嫌な顔一つせず出迎えてくれる唯一の人物だった。
「よし。手当終わったな!それで?相談ってなんだ?」
『あのね。マイキーの誕生日何をあげたら良いのかなって....』
「なんだ。そんなことか。オマエから貰ったものならなんでも喜ぶんじゃないのか?」
『それはそうなんだけど.....たぶんマイキー、たい焼き1個でも飛んで喜びそうなんだもん....』
「あーそれはあるな。」
『どうせなら飛びっきり喜んで欲しくて.....』
「(やれやれ。うちの弟は愛されてんな。)」
ポリポリと真一郎は後頭部を書くと、ドカッとリツカの前に座った。
「よし。リツカ!オマエが納得いくまで付き合ってやるよ!」
『〜〜〜っ!ありがとう!シン兄!大好き!』
「(あーもう可愛いな。コイツ。)」
リツカは嬉しそうに頬を赤くすると勢いよく真一郎に抱きついた。