第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
思えばあのツーリングが事件の発端だった。
あの時誰か一人でも気づいていれば止められたかもしれない。
「海だあ!!」
「ヤベーキモチいー」
「潮風サイコー!」
「オラ、リアァ見てみろってお前の好きな海だゾ!」
『見る余裕ないよ!怖いィィ!!』
「あはは!コアラみてぇ!」
「ちったァ離れろ!」
『ムリムリムリムリムリ!!』
「役得じゃん場地!」
「コイツあっちぃ!」
そう言われてもリツカはピッタリと場地の背中に張り付き、ギュッと腰に手を回す。
「オイ。もっと飛ばせよォ」
「しょうがねぇだろ。アイツが遅せぇから。」
6人が並行する中1人だけ後ろで出遅れたように赤い原チャが後を追う。
【マイキー】
「マイキーよォ。いつまで原チャ乗ってんだ?総長だぜ?」
「いい加減単車に変えろや。」
「いーんだよ!俺の愛車バカにしてんの?バブの50ccモデル ホーク丸だ!」
「何がホーク丸だよ。ただの原チャリじゃねぇか。原チャはコールできねぇかんな?」
得意げに笑うマイキーにドラケンは容赦ないツッコミを入れる。
「バブにしか乗りたくねぇてゆーけどよぉ。小学生のリッカならともかく。譲ってくれる先輩もいねぇんだからしょうがなくね?」
ムッと怒った顔をするマイキーをドラケンが諭すがそこまでの効果はない。
『いっその事リミッター解除しちゃえば?』
「それやったらサツに捕まんだろ。ただでさえ俺ら無免許なんだからよ。」
『無免許だから今更でしょって言ってんの。』
一向に原チャから変えようとしないマイキーを前に話し合っていると、後方から7人を煽るような声が聞こえてきた。