第12章 運命の天秤
卍 卍 卍
─────2003 夏
「うおー!かっけぇ!」
まだチームを立ち上げて間もない頃
いつも集会場所として使っていた喫茶店にパーちんの声が響く。
「お?何々?」
「東卍の特服が出来てんだよ! 」
「おー刺繍細けぇ。すげぇな!三ツ谷」
「すげぇなじゃねぇよ。なんでも俺とリッカに押し付けやがって。」
『おかげでこっちは寝不足〜』
拗ねたようにムンと頬を膨らませるリツカに一虎はふはと笑う。
「ごめんごめん。リッカ。コーヒー奢るから許せって」
『カフェオレがいい.....コーヒー飲めない』
【お子様だな.....】
当たり前だ。
大人びていて不良たちと一緒にいるがリツカはマイキーたちと違って1歳下のまだ小学生。
大人の苦いコーヒーなんて飲めたものじゃない。
「おーし。早速着替えて記念写真撮ろうぜ?なぁ?マイキー」
「ん?」
「ああ!テメー何俺のチョコパ全部食ってんだよ!!」
「あ、気づいたら」
「一口だけって言ったじゃねぇか!」
『新しいの頼めばいいじゃん。』
「そういう問題じゃね!!」
「どゆこと?」
果たしてどんな問題なのか理解できないマイキーとリツカは首を捻る。
「俺はこのチョコパが食いたかったんだよ!」
「オマエそういうとこあるな。」
「あ"ぁ!?テメーら表に─────」
「ごちそうさまでした!」
パンと手を合わせたマイキーにドラケンから呆れたように力が抜け、周りにはドッと笑いが起きる。
【あははは!】
「あーもういい。」
それから7人は特服に着替えて渋谷のスクランブル交差点へと向かった。
「い、行きますよー」
「早くしろや!!」
「は、はいチーズ。」
この時誰も予想なんてしていなかった。
あの後まさかあんな事件が起きるとは夢にも思わなかった。