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さよならマイヒーロー【東リべ】

第12章 運命の天秤



咄嗟に受け止めた手がビリビリと痙攣し痛い。



『へぇ。海國、海寿。成長したじゃん。すごいね。』



「「っ!」」



敵なのにそう褒められると心の中で嬉しさが込み上げると同時に胸が酷く締め付けられる。



俺らはこの人を殴れない。



東卍に負けチームは解散し、東卍の傘下になっても馴染めず、どの隊からも厄介払い。
信じれるのはお互いだけであとは全部敵に見えていた。
そんな俺たちを救い上げたのがこの人だった。



【オマエらが双璧?へぇいいじゃん。かっこいい。オマエらオレの隊の副隊長になってよ。】



優しい人だった。
元々特攻隊はどの隊からも見捨てられた溢れ者が集う場所だ。



誰も俺たちのことなんて気にしてはくれない。
怪我をしても、なにしてもみんな俺たちを煙たがる。
でもこの人だけは違った。
問題児の俺たちを纏めて懐に受け入れ、居場所を与え、笑いかけて、大切にしてくれたのはこの人だった。



歳は同い歳でもどこか兄貴っぽくて、よく俺らの面倒を見てくれた。



『オラ!何躊躇してやがるっ!!』



ゴッ!!!



リツカは殴られるばかりの2人に喝を入れるように殴る。



隊長は正気じゃない。
総長や他の隊長達がいない以上俺らがこの人を止めるしかないんだ!



そう考えた2人は叫びながらリツカに拳を向ける。
その瞬間
リツカは少しだけフッと笑った。



何分....何時間経っただろうか。
2人は結局負けて地面に転がっていた。



『ハァハァ....半間。これで十分でしょ。』



顔に着いた血を乱雑に拭いながらリツカが茂みに視線を向けるとニヤリと笑った半間が立っていた。



「天使チャン。よくやんねぇ。ソイツら1番信頼してる腹心だったんだろ?」



『だから何?』



「躊躇とかそういうのねぇの?」



『何?躊躇?はっ、そんなのがあれば不良やってねぇよ。オマエオレを馬鹿にしてんの?何?次はオマエを沈めりゃいいの?』



「そうカリカリすんなって♡じゃあ俺たちのアジトに行こうぜ。天使チャン。」



『ああ。』



そう言って半間に続いて神社の階段を降りていく。



『っ.....ごめん。ごめんね。海國、海寿』
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